今回は「ライディングブーツとライディングシューズの選び方」についてご紹介いたします!
- ブーツとシューズ、どっちを買えばいいか決められない方
- 甲高幅広で、バイク用の靴が足に入らない方
- 通販で買いたいけど、サイズを外すのが怖い方
- スニーカーで乗っていて、そろそろ不安になってきた方
「バイク用の靴って、結局どっちを買えばいいの?」
足元の装備は、ヘルメットやジャケットに比べてどうしても後回しになりがちです。それでいて、いざ買おうとすると種類が多すぎて決められません。しかも通販だと試着ができません。サイズを外したら返品、という手間まで想像すると、そこで手が止まってしまうんですよね。
この記事では、ブーツとシューズの違いから、甲高幅広の人の探し方、通販でサイズを外さないコツまでをまとめました。
記事中の定価はメーカー公式サイトの記載、実売は2026年8月時点の表示価格です。価格は動くので、購入前に最新の表示を確認してください。
【結論】決め手は「降りてから歩く時間」
まずは結論です!
ブーツとシューズは上下関係ではありません。用途で選ぶものです。
- 降りてから長く歩く(観光・キャンプ・通勤)→ ライディングシューズ
- 走っている時間が長い、覆う範囲を広く取りたい → ライディングブーツ
- 甲高幅広で入らない → ワイズを公式に明記しているモデルから探す
- サイズで迷ったら、まず足長と足囲を測ってからメーカーのサイズ表を見る
- 今すぐ買えない → シフトガードだけ付けてスニーカーを延命する
「ブーツのほうが格上」ではありません。歩く時間が長い人がブーツを買うと、結局履かなくなって玄関で眠ります。
ライディングブーツとシューズは何が違う?

ここからは、具体的にどこが違うのかを見ていきます。
覆う範囲は違うが、中身は入っている
まず、よくある誤解から外しておきます。「シューズには何も入っていない」というのは間違いです。
RSタイチの公式サイトでは、フープシューズ(RSS011)についてくるぶしに硬質プロテクターを内蔵し、踵の内側にもラバーガードを配置していると説明されています。エルフのシンテーゼ16(EL016)も、公式スペックにTPU製のシフトガードとアンクルガードが明記されています。
- ブーツ: くるぶしより上、脛のあたりまで覆う
- シューズ: くるぶし周りまで。プロテクター自体は入っている
- 両方に共通: シフトガードが付いているモデルが多い
ちなみにRSタイチの公式説明には、シフトペダルが当たる部分にシフトガードを配置し、ダメージを受けやすい左足は面積を広く取っている、という記述があります。
言われてみれば当然ですが、バイク用の靴は左右で作り分けられているんですね。普通のスニーカーだと、この左足の甲だけが先に削れていきます。
「ブーツのほうが安全」とは限らない
ここは知っておくと選び方が変わります。デイトナの公式サイトを同じメーカー内で見比べると、面白いことが分かります。
ミドルブーツ(HBS-007)とショートブーツ(HBS-003)は、公式の装備がくるぶしのクッションパッドとシフトパッド。しかも公式に「防水機能なし」と明記されています。
一方、同社のシューズであるDS-503は、くるぶしパッドに加えて、つま先とヒールに内側補強と外側コーティングが入り、さらに防水フィルムまで備えています。
見た目のいかつさと中身は、必ずしも一致しないということです。
CE規格(EN 13634)という物差しもある
もう少し客観的な物差しが欲しい人向けの話です。二輪用のフットウェアには、EN 13634という欧州規格があります。現行版はEN 13634:2017で、ダイネーゼの公式サイトが試験内容を公開しています。
試験は耐摩耗・耐切創・横方向の剛性などで構成され、Level 1とLevel 2に分かれます。耐摩耗はLevel 1で5秒以上、Level 2で12秒以上。耐切創はLevel 1で25mm以下、Level 2で15mm以下です。
- ラベルはタン(ベロ)の下に付き、4つの数字が並ぶ
- 各試験は個別に評価されるので、項目ごとにレベルが混ざることもある
- 規格自体はシューズとブーツを区別していない
3つ目が大事なところです。この規格から見れば、シューズだから格下という扱いにはなっていません。
ただし、日本国内で売られている製品の多くは、この規格への対応を公式サイトに書いていません。筆者が確認できた範囲では、RSタイチのDRYMASTERアローシューズ(RSS013)の公式ページに「CE規格LV.1の保護能力を有しています。EN13634.2017」という記載がありました。
書いていないメーカーの製品が危ない、という意味ではありません。ただ、比べる物差しとして使えるのはここまで、ということです。
歩きやすさと脱ぎ履きが違う
実用面でいちばん効いてくるのがここです。ブーツは覆う範囲が広いぶん、脱ぎ履きに手間がかかります。ツーリング先で座敷の店に入るときや、キャンプ場でテントを出入りするときに、この差が地味に効きます。
エルフのシンテーゼ16は公式に「ローカット」と記載されていて、BOAのダイヤルで締め具合を調整する仕組みです。ダイヤルを緩めるだけで足が抜けるので、脱ぎ履きは速いです。
ここまでを表にまとめると、こうなります。
| 項目 | ライディングブーツ | ライディングシューズ |
|---|---|---|
| 覆う範囲 | くるぶしより上 (脛のあたりまで) | くるぶし周りまで |
| 脱ぎ履き | 手間がかかる | 速い |
| 向いている人 | 走る時間が長い人 | 降りてよく歩く人 |
覆う範囲を取るか、脱ぎ履きと歩きやすさを取るか。そういうトレードオフだと思ってください。
迷ったら、1足目はシューズから入るのが無難です。履かない装備は守ってくれないので、面倒くささはそのまま安全性の低下につながります。
しっかり覆いたい派なら、コミネのツーリングブーツが現実的な価格帯です。公式の定価は18,000円で、実売はもう少し下がります。サイズ展開は公式で25.0cmから29.0cmまでです。
足つきや立ちゴケが気になって厚底を考えている方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
甲高幅広で足が入らないときの選び方
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「サイズは合ってるのに、幅がきつくて履けない」
これで毎回つまずいている方は多いと思います。ここは長さの問題ではないので、サイズを1つ上げても解決しません。
ワイズは「足囲」であって、甲の高さではない
まず用語を整理しておきます。日本の靴のサイズはJIS S 5037という規格で決まっていて、足長・足囲・足幅という3つの寸法が定義されています。
E・EE・EEEといった記号は、このうちの足囲を表しています。足囲は、親指の付け根と小指の付け根をぐるっと取り巻いた長さのことです。
| ワイズ | 足囲 | 足幅 |
|---|---|---|
| E | 249mm | 102mm |
| EE | 255mm | 104mm |
| EEE | 261mm | 106mm |
| EEEE(4E) | 267mm | 108mm |
足長26.0cm・男子用の場合の値です。1段階上がるごとに、足囲が6mm、足幅が2mm太くなります。
ここで注意したいのが、JISには「甲の高さ」の寸法規定が無いということです。ワイズは足囲であって甲高ではありません。
甲が当たって痛い場合は、ワイズを上げるのではなく、締め方の仕組みで逃がすほうが現実的な解決になります。
「日本人は甲高幅広」は思い込みかもしれない
ここは定説がひっくり返る話なので、少し丁寧に書きます。デイトナの公式サイトに、自社スタッフ7名の足長と足囲を実測して、JISのEとEEに照らし合わせたページがあります。
そこには「日本人の足は幅広の甲高というのは通説ですが」と前置きしたうえで、実測値はEに近い数値が多かったと書かれています。
さらに、日本ではEEを標準としている靴メーカーが一般的だが、実際の足囲に照らすとEEや3Eを選ぶと幅が広すぎるサイズ選びになる、という指摘まで載っています。
実際、公開されている7名のデータは足長も足囲もバラバラです。同じ職場の中に、細身の人と幅広の人が同居しています。
日本人だからどう、という話ではなく個人差の問題なんですね。
ワイズを公式に明記しているモデルから探す
そのうえで、実測した結果やはり幅広だった場合の話をします。
バイク用のフットウェアでワイズを公式に書いているメーカーは、そう多くありません。筆者が公式サイトで確認できたのは次の2つでした。
- エルフ: シンテーゼ16(EL016)、S17(ELS17)などに【EEE相当】の記載
- デイトナ: V-WPライディングシューズ(DS-503)に「甲高幅広が多い日本人に適した2E相当の幅広設計」の記載
エルフのシンテーゼ16は公式で23.0cmから28.0cmまで展開があり、アッパーは人工皮革のクラリーノと合成皮革、ソールは防滑・耐油の合成底です。
定価は税込20,900円ですが、実売はもう少し下がります。
デイトナのDS-503は公式で税込13,200円、サイズは23.5cmから28.0cmまで。シュータンまで防水フィルムが入っていて、雨にも対応します。幅と防水を同時に解決したい方は候補に入れてみてください。
「ワイド」と書いてあっても幅広とは限らない
ここは知らないと確実に損をするので、はっきり書いておきます。
しかもワイド版はサイズ刻みが24.0・25.0・26.0・27.0・28.0の1cm刻みで、通常版の0.5cm刻みより粗くなります。幅で困っている人が選ぶと、二重に外すことになります。
「ワイド」という言葉がどこの寸法を指しているのか、公式ページで必ず確認してください。
締め方の仕組みで甲の当たりを逃がす
幅と同時にきつく感じるのが、甲の高さです。
紐靴は締めた位置でしか調整できませんが、BOAのようなダイヤル式は微調整が効きます。シンテーゼ16も公式にBOAフィットシステムを採用していると書かれています。
- ダイヤル式(BOA): 微調整が効く。甲の当たりを逃がしやすい
- サイドジップ: 足入れが楽。甲の調整幅は小さい
- 紐: 一番細かく調整できるが、脱ぎ履きは遅い
もうひとつ現実的な手が、付属のインソールを薄いものに替えることです。インソールの厚みぶんだけ甲の空間が広がるので、あと少しで入らないケースはこれで収まることがあります。
通販でサイズを外さないコツ|大きめを買うべき?

ここが通販でいちばん不安なところだと思います。順番に潰していきましょう。
表示サイズには、すでに「つま先の余裕」が入っている
意外と知られていないのが、この前提です。アシックス商事の公式解説によると、日本で製造販売されている靴のcm表記は「足入れサイズ」で、つま先の余裕寸法(すて寸)が考慮された数値になっています。JIS S 5037に基づく考え方です。
同社の説明では、メーカーによってばらつきはあるものの、23.0cmの靴は足長23.0cmの人が履ける靴として設計されています。
これを知らずにサイズを盛ると、中で足が泳いで別の問題が出てきます。
足長と足囲を測る
やり方は、アシックス商事の公式ページに書かれている方法が分かりやすいです。
足長は、かかとから一番長い指までの長さ。足囲は、親指と小指の付け根で骨が張り出した部分の周囲をメジャーで測ります。
- 平らな床に直立し、両足に均等に体重をかけて測る
- 一番長い指は親指とは限らないので、実際に見て確認する
- 左右で違うことが多いので、両足とも測る
- 足囲を測るときは、足の裏を全部床に付けてから測る
測るタイミングも同ページに根拠があり、足がむくみやすい午後や夕方が適しているとされています。朝一番のサイズで買うと、夕方にきつく感じることがあるからです。
足と靴と健康協議会も、サイズ表記はあくまで目安なので購入時は毎回試着すること、と案内しています。通販で買う前に一度は実店舗で足を通しておくと、自分の基準ができます。
大きめを買うべきか
これは条件付きの話になります。
バイク媒体のインタビューで、RSタイチの広報担当が「歩行を中心にする人はピッタリサイズを、真冬でも多く乗って靴下を重ねる人は大きめを」と答えています。
全員が大きめを買うべきという話ではなく、厚手の靴下を重ねる前提があるかどうかで変わるということです。
- 通年で使う1足なら、いつも履く厚さの靴下を基準にする
- 冬に厚手を重ねる前提なら、その靴下でフィッティングする
- 幅がきつい場合は、サイズではなくワイズで解決する
なお、メーカー各社の公式サイトを見て回りましたが、「厚手の靴下を想定して大きめを選べ」と公式に書いているページは見つけられませんでした。上の見解も、公式サイトの記述ではなく媒体インタビューでの発言です。
そのうえで筆者の感覚を書いておくと、つま先で探るようにシフトを操作する以上、中で足が泳ぐのは気持ちのいいものではありません。迷ったら、まずは実測どおりのサイズから試すのが無難だと思います。
厚手の靴下できつくなるなら、靴下を厚くするより靴に余裕を残すほうが結果的に暖かいです。締め付けると血行が悪くなって、かえって冷えます。
EU表記の「共通換算表」は信じない
海外ブランドを買うときの落とし穴です。EU表記とcmの対応は、ブランドごとに違います。それどころか、同じブランドでもカテゴリが違えば換算が変わります。
アルパインスターズの公式サイズチャートは、ロード用シューズとMXブーツで表そのものが分かれています。ロード用にはEUR 41やEUR 44がありますが、MXブーツ側はEUR 40.5やEUR 44.5という刻みで、段の並びが違います。
- 換算表は必ず「そのブランドの、そのカテゴリの」公式表を見る
- コミネは公式にJP・EU・USの換算表を公開している
- RSタイチはフットウェアのサイズ表を公式に出していない(製品ページのcm表記を見る)
ネットで拾った汎用の換算表を使うと、ここで事故ります。買う前に必ずメーカー公式のサイズページを開いてください。
装備全体のサイズ感や季節の合わせ方は、グローブと服装の記事でも触れています。
雨の日と、今すぐ買えないときの現実解

最後に、迷いやすい2つの論点に答えておきます。
防水はどこまで必要か
足元は雨でいちばん先に不快になる場所です。筆者もスニーカーでツーリングに行って途中から降られ、靴の中がぐちょぐちょになって観光どころではなくなり、滞在30分で帰ったことがあります。
とはいえ、全員に防水モデルが必要かというと、そこは乗り方次第です。
- 通勤で毎日乗る → 防水モデルを1足持つと精神的にかなり楽になる
- 晴れの日しか乗らない → シューズカバーで足りる
- 雨の日は乗らないと決めている → 防水の優先度は下がる
防水モデルを選ぶなら、RSタイチのDRYMASTERが分かりやすい例です。公式では「ウェア内の蒸れを軽減し、優れた防水性能と透湿性を誇るTAICHIオリジナルの防水・透湿素材」と説明されています。
逆に、革のブーツは防水とは限りません。デイトナのショートブーツとミドルブーツは、公式に防水機能なしと明記されています。「ブーツだから雨に強い」も思い込みなので気をつけてください。
雨の日の装備全般は梅雨対策の記事にまとめてあるので、上半身や手元とセットで考えたい方はそちらもどうぞ。
どうしても今は買えないときのつなぎ
予算的に今は無理、という場合もあります。
その場合でも、シフトガードだけは付けておくのをおすすめします。左足の甲が削れるのを防げますし、1,000円台から手に入ります。
ただし、これはあくまで甲の傷防止です。くるぶしや踵を守るものではないので、次の1足を買うまでの応急処置と考えてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. ブーツとシューズって結局どっちがいい?
降りてから歩く時間で決めるのが分かりやすいです。観光や通勤で歩くならシューズ、走っている時間が長いならブーツが向いています。
Q2. スニーカーでバイクに乗るのってやめた方がいい?
くるぶしや踵を守る作りにはなっていないので、常用はおすすめしません。すぐ買い替えられないなら、まずシフトガードだけでも付けておくと違います。
Q3. 甲高幅広だけど入るライディングシューズってある?
エルフのシンテーゼ16は公式スペックに【EEE相当】、デイトナのDS-503は「2E相当の幅広設計」と明記されています。ワイズを公表しているモデルは少ないので、まずはそこから当たるのが早いです。
Q4. サイズは大きめを買った方がいい?
全員に当てはまる話ではありません。日本のcm表記にはすでにつま先の余裕が含まれているので、まずは実測した足長と同じサイズから試してください。
Q5. 最初の1足は何を買えばいい?
歩く時間が長いなら1万円前後のライディングシューズ、走る時間が長いなら1万5千円前後のツーリングブーツが現実的なラインです。
Q6. CE規格じゃないとダメ?
必須ではありません。国内メーカーは公式サイトに規格を書いていないことのほうが多く、書いていない=危ないという意味にはなりません。
まとめ|ブーツかシューズかは「歩く時間」で決まる

最後までご覧いただきありがとうございました!
ライディングブーツとライディングシューズは、優劣ではなく用途の違いです。降りてから歩く時間が長いならシューズ、走る時間が長くて覆う範囲を広く取りたいならブーツ。まずはここで絞ってください。
そして、丈が長いほうが安全とは限りません。同じメーカーの中でも、シューズのほうが装備が厚い組み合わせが実在します。見た目ではなく、公式スペックで中身を見てください。
甲高幅広で毎回つまずいている方は、思い込みで3Eを選ぶ前に足囲を実測するところから始めてみてください。そのうえで、ワイズを公式に明記しているモデルから探すのが近道です。
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足元は、転んだときに真っ先に接地する場所です。それでいて、後回しにされやすい装備でもあります。特に「まだスニーカーで乗っている人」ほど、一度足元を見直してみてください。冬に足の感覚がなくなった経験がある側から言うと、ここは投資して損のない場所です。
以上、ありがとうございました!
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